よいことが書かれていても、何も変えられない日があります。分かることと、その日にできることの間には、疲れや時間や相手の都合が入り込みます。
説明が付くと安心する一方、その説明からこぼれた部分に目が戻ります。分かりやすい言葉を探しているうちに、本人の話が少し違う形になっていないか。その感触を、今回は置き去りにしたくないんです。とくに、助言への納得と実行の条件には、すぐ一つの答えへまとめたくない面白さを感じます。
架空の仕事相談で、担当範囲を相談するとよいと考えた人が、上司の不在で話せなかった週を想定します。
方向には納得した内容に目を向けていたところから、現実に試せなかった事情へ視線を移すと、同じ場面にも違う引っかかりが生まれます。結論を反対にしたいわけではなく、最初の説明で何を脇へ置いたかを知りたくなるんです。
助言への納得と実行の条件
助言の方向に納得していても、相談相手がいなければ、その場では実行に結び付きません。 別の人は言葉が抽象的で、誰へ何を聞くか決まらず、そのまま一週間が過ぎます。
役立ったかを振り返る際、内容への納得、実行の条件、実際に起きたことを分けると、つながらなかった箇所が具体的になります。
気にしているのは助言への納得と実行の条件です。言葉の意味を知ることに加えて、どの情報を先に受け取り、何を後から付け足したかを見ていたいんです。同じ結論になっても、その途中で省いた条件が違えば、本人へ返す言葉も変わります。
実行しなかった本人の意欲だけを理由にする説明が気になります。
実行できなかった条件が分かれば、助言の規模を小さくする案も出てきます。上司と面談できなかったなら、話す内容をメモへするところまで進めるかもしれません。ただ、何もできなかった日へ必ず成果を探して励ますことも急ぎたくはありません。疲れていて考えられなかったという記録が残っても、その事実が次の提案の負担を考える材料になります。役立たなかった感想を、鑑定を守るための言い訳へ変えずに受け取りたいです。
役立たなかった経験を聞く際、本人が気を使って報告を控える場合もありそうです。よかった点を前提にした質問より、試しにくかった条件を率直に話せる問いが欲しくなります。何をしなかったかだけでなく、なぜその提案が生活へ入りにくかったかを聞けば、文章の規模や前提を見直せます。鑑定を守るために本人の事情を例外へするより、実際に困ったという感想を次の考えの材料へしたいんです。役に立つという言葉の意味が、受け取る人の時間や権限と結び付いていることが見えてきます。
この違いを確かめるなら、条件を一度に全部替えずに考えたくなります。方向には納得した内容へ向けた説明を残したまま、現実に試せなかった事情を中心にした場合と並べる。二つを混ぜて長くするより、それぞれが何を拾ったかを話すほうが具体的になります。
助言が抽象的だった場合と、具体的でも時間が足りなかった場合は、次の提案が異なります。役立たなかったという感想を一つで終えず、止まった場所を知りたくなります。
提案の負担や曖昧さを見直せなくなることを脇へ置かない
役立たなかった例を全部相性の問題にすると、文章の曖昧さや提案の負担を見直す機会が減ります。
やはり気になるのは、試さなかった理由を意欲だけへ戻すことです。最初は小さな省略でも、それを前提に次の助言を重ねれば、本人が語っていない筋書きが出来上がります。別の事情が分かったときにどこを言い直すか、その場所が見える説明にしたいと思います。
その後の暮らしまで考えると、提案の負担や曖昧さを見直せなくなることが気になります。言葉の上で解決したように見えた話が、翌日の予定へどう入るのか。本人の時間や負担が置き去りなら、よい話を聞いた感覚と実際の不便が別々に残ってしまいます。
試せたこと、試せなかった理由、代わりにしたことを残せば、次の提案に必要な条件が見えます。
提案を試した結果、別の不便が増えたという報告も同じ欄へ残せます。担当を減らそうと相談したら説明の負担が増えた、という経過なら、その後の支えを考える話になります。一回の助言を完成した答えにせず、暮らしへ触れてどう変わったかを聞ける余地を持っていたいです。
手元に試したこととできなかった理由があると、印象の強かった部分だけで話を終えずに考えられます。後から納得できる説明を見つけた場合にも、その前の条件へ戻れるからです。記録は立派な分析のためというより、忘れたくなる細部を残すために欲しくなります。
説明する側が納得したことと、受け取った人が考えやすくなったことは、少し離して見ていたいと思います。助言への納得と実行の条件のような細部を残すと、その距離が見えます。話がまとまったところで、まだ何か言い残していそうな感覚にも気付きやすくなります。
後日振り返ったとき、途中まで書かれた面談のメモのほうが記憶に残るかもしれません。説明を聞いた直後に印象的だった言葉と、生活へ戻ってから意味が増えた言葉は、必ずしも同じではなく、その時間差にも関心があります。
何もできなかったと書いた欄の下に、上司へ話す内容のメモだけ残っていた。その途中の形も見ていたいです。



